~知られざるベトナム経済~ 10の事実
ベトナム経済における過去25年間の成果が国際経済界で大きな関心を呼んでいる。
ベトナム経済の10項目におよぶ事実がMcKinsey Global 研究報告書に掲載され、
世界中が驚いている。この内容はアメリカのForeign Policyにも掲載された。
Vneconomy.net 2012年3月1日
ベトナム経済の10項目におよぶ事実がMcKinsey Global 研究報告書に掲載され、
世界中が驚いている。この内容はアメリカのForeign Policyにも掲載された。
同報告書のテーマは「Sustainining Vietnam’s Growth: The Productivity Challenge」
(ベトナム経済成長の保持:生産能力への挑戦)で、ベトナムの成長は明白な事実だと
分析されている。
ベトナムが2007年にWTOへ加盟したことや、外国投資家に対する強い魅力、経済構造が
農業から工業・サービス業に移ったことが報告書の中で強調された。
しかし、活発な成長スピードを維持するためには、工業とサービス業の生産能力を
改善しなくてはならないことも提唱されている。
以下はMcKinsey Globalの報告書の要点である。
1. アジア地域では中国に次ぐ急速な経済発展国
ベトナムはこの25年間で戦争によって破壊された国からアジアの経済発展国になった。
ドイ・モイ(改善)政策が1986年に実施されて以来、ベトナム経済はアジア諸国の中で
中国に次いで急速に成長してきた。一人当たりのGDP成長率は年間5.3%を達成した。
ベトナムの経済は1990年のアジア金融危機や、つい最近の国際金融危機にも関わらず
成長スピードを維持し続け、2005年~2010年まで年間7%の成長率を達成した。
2.農業の割合が大幅に減ったベトナムの経済構造
ベトナムでは以前と異なり、農業中心の開発になっていない。農業はGDP貢献の比率が
この15年間で40%から20%に減っている。これは他のアジア諸国より早く、中国では
同様の転換に29年、インドは実に41年間を費やしている。
ベトナムは農業分野の労働人材を10年で13%減少させ、工業分野の労働人材は9.6%、
サービス分野は3.4%の増加となった。労働人材の転換がベトナム経済を急激に発展させた。
これらの分野は生産能力が大きく違うことが要因である。
結果はGDPで農業の比率が6.7%のマイナス、工業は7.2%のプラスとなった。
3.胡椒、カシューナッツ、米、コーヒーは世界の上位を維持
ベトナムは世界最大の胡椒輸出国であり、2010年の輸出高は11万6千トンに達した。
また、カシューナッツの輸出も4年間連続最大で、米はタイに次ぐ世界第二位である。
コーヒーの輸出では最近4年間で3倍増加しており、ベトナムを上回っているのは
ブラジルだけである。他にも茶葉の輸出が世界5位、魚、海老、マグロ等の水産物は
世界6番目の輸出国である。
4. ベトナムは「中国 + 1」にあらず
中国の賃金が増え続ける一方のため、外国企業の多くは生産拠点を賃金の安いベトナムに
移す計画を立てている。企業の役員たちはアジアではベトナムが次の輸出製品生産国に
なると考え、スモール中国「中国+1」と呼んでいる。
しかし、ベトナムは2つの面で中国と大きく異なっている。1つ目はベトナムの経済が
消費に大きく頼っている点だ。ベトナムでは一般家庭の消費がGDPの65%を占めており、
中国の場合は36%に過ぎない。2つ目は中国の経済発展が輸出活動と投資規模の成果に
よるところが大きいのに対し、ベトナムは工業とサービス業のバランスが平均している。
これらの分野はGDPの40%近くを占めている。ベトナムの経済は様々な分野で発展し、
経済全体で競争が存在する。
ベトナムでは最近5年間で工業およびサービス業が年間平均8%の成長を示している。
5. 外国投資にとってマグネットバーのベトナム
ベトナムはインフラ整備に大きく投資している。多くの外国人がベトナムの交通施設は
まだ不十分だと評価しているが、経済が発展途上の状況でインフラ整備が可能なことは
素晴らしいと考えて良いだろう。
ベトナムの道路整備は2009年に密度が0.78 km/km2となり、ベトナムより発展している
フィリピンやタイより高くなった。また、2009年には電気網がベトナム全体の96%を
カバーした。Dung Quat港、Cai Mep港等の新たなコンテナ港が誕生し、Da Nang市の空港、
Can Tho市の空港が整備されたため、世界との繋がりが充実化された。
7.ベトナムの若年層にインターネットが普及
ベトナムは人口が若く、学習レベルが高いため、インターネットの利用者数が伸びている。
携帯電話加入者は2000年から2010年までで年間平均70%という急激な増加を記録した
(アメリカは10%)。2010年末現在のネット人口は1.7億で、携帯電話のユーザーは
そのうちの1.54億人である。
ベトナムのインターネット利用者は31%で、マレーシアと台湾がそれぞれ55%と72%だが
ベトナムでは大きな変化が生じており、広帯域の加入者が2006年の50万人から2010年の
380万人に増え、2010年には3Gの加入者が770万人に達した。
通信インフラ施設が発展すると、携帯電話とインターネット利用者がブーム的に増加する。
現在、ニュースを検索する人はネットユーザーの94%を占めている。ネットユーザーの
40%以上が毎日サイトにアクセスしている。
8. 加工サービスや外部委託サービスのアドレスとしてのベトナム
ベトナムでは加工分野と外部委託サービス分野で働く人が10万に達していて、この分野は
年間15億USDの売り上げを叩き出しており、HP、IBM、Panasonic等の大手外国企業が
ベトナムに拠点を置いている。
加工分野と外部委託サービス分野でベトナムはTOP10のアドレスに入る可能性が高い。
賃金が安く、教育の行き届いた若い人材が多い(毎年、25万7千人が大学を卒業する)。
ベトナムではソフトウェア技術者の給与が中国より60%も低い。同じくデータ整理技術者も
中国の技術者より50%低い。
加工業と外部委託サービス業はベトナムに年間60億USD~80億USDの売上を与えており、
ニーズがあれば対応可能な状況になっている。この分野は2020年まで労働者60万~70万人に
仕事を供給し、GDPの3%~5%を担うことが見込まれている。
9.中国やインド・アセアン諸国より高いベトナム銀行の資金貸付成長率
この10年間でベトナムの資金貸付総額は年間33%増え、中国、インド、アセアン各国の
成長率より大きくなった。2010年末時点での資金貸付総額はGDPの約120%相当であり、
成長率はまだ22%程度だった。
この急成長はベトナム経済の発展を証明し、銀行ネットワークの拡大を表している。
しかし、不良社債および経済への悪影響に関しては懸念もある。
10. 減少するベトナムの人口の利殖 (demographic dividen)
人口利殖とは人口の変動による経済的な利益を指す。2005年~2015年の間は若い人材が
増加すると共に、経済構造の農業分野から工業分野とサービス分野への移転が考えられ、
経済成長の約2/3を担うものと思われる。残りの約1/3は労働能力改善の成果である。
だが、ベトナムおける経済発展の原動力(若い労働人材と経済構造の移転)は徐々に
弱まってきている。
統計によると、ベトナムでは労働人材の成長率が10年後に年間0.6%となり、
2000年~2010年の2.8%から大幅に減ることが予想されている。また、農地から工場に
場所を移すベトナムの経済構造が従来のスピードで実施されていない。
これにより、GDPの成長率を維持するため、今後のベトナムでは労働生産能力を
改善しなくてはならなくなり、2020年までに50%アップ(4.1%から6.4%に引き上げ)が
必要である。これが達成できなければGDP成長率は年間4%~4.5%に減少する可能性がある。
その場合、ベトナムのGDP総額は年間7%の成長率を達成するGDPの額を30%下回る。
(ベトナム経済成長の保持:生産能力への挑戦)で、ベトナムの成長は明白な事実だと
分析されている。
ベトナムが2007年にWTOへ加盟したことや、外国投資家に対する強い魅力、経済構造が
農業から工業・サービス業に移ったことが報告書の中で強調された。
しかし、活発な成長スピードを維持するためには、工業とサービス業の生産能力を
改善しなくてはならないことも提唱されている。
以下はMcKinsey Globalの報告書の要点である。
1. アジア地域では中国に次ぐ急速な経済発展国
ベトナムはこの25年間で戦争によって破壊された国からアジアの経済発展国になった。
ドイ・モイ(改善)政策が1986年に実施されて以来、ベトナム経済はアジア諸国の中で
中国に次いで急速に成長してきた。一人当たりのGDP成長率は年間5.3%を達成した。
ベトナムの経済は1990年のアジア金融危機や、つい最近の国際金融危機にも関わらず
成長スピードを維持し続け、2005年~2010年まで年間7%の成長率を達成した。
2.農業の割合が大幅に減ったベトナムの経済構造
ベトナムでは以前と異なり、農業中心の開発になっていない。農業はGDP貢献の比率が
この15年間で40%から20%に減っている。これは他のアジア諸国より早く、中国では
同様の転換に29年、インドは実に41年間を費やしている。
ベトナムは農業分野の労働人材を10年で13%減少させ、工業分野の労働人材は9.6%、
サービス分野は3.4%の増加となった。労働人材の転換がベトナム経済を急激に発展させた。
これらの分野は生産能力が大きく違うことが要因である。
結果はGDPで農業の比率が6.7%のマイナス、工業は7.2%のプラスとなった。
3.胡椒、カシューナッツ、米、コーヒーは世界の上位を維持
ベトナムは世界最大の胡椒輸出国であり、2010年の輸出高は11万6千トンに達した。
また、カシューナッツの輸出も4年間連続最大で、米はタイに次ぐ世界第二位である。
コーヒーの輸出では最近4年間で3倍増加しており、ベトナムを上回っているのは
ブラジルだけである。他にも茶葉の輸出が世界5位、魚、海老、マグロ等の水産物は
世界6番目の輸出国である。
4. ベトナムは「中国 + 1」にあらず
中国の賃金が増え続ける一方のため、外国企業の多くは生産拠点を賃金の安いベトナムに
移す計画を立てている。企業の役員たちはアジアではベトナムが次の輸出製品生産国に
なると考え、スモール中国「中国+1」と呼んでいる。
しかし、ベトナムは2つの面で中国と大きく異なっている。1つ目はベトナムの経済が
消費に大きく頼っている点だ。ベトナムでは一般家庭の消費がGDPの65%を占めており、
中国の場合は36%に過ぎない。2つ目は中国の経済発展が輸出活動と投資規模の成果に
よるところが大きいのに対し、ベトナムは工業とサービス業のバランスが平均している。
これらの分野はGDPの40%近くを占めている。ベトナムの経済は様々な分野で発展し、
経済全体で競争が存在する。
ベトナムでは最近5年間で工業およびサービス業が年間平均8%の成長を示している。
5. 外国投資にとってマグネットバーのベトナム
ベトナムはインフラ整備に大きく投資している。多くの外国人がベトナムの交通施設は
まだ不十分だと評価しているが、経済が発展途上の状況でインフラ整備が可能なことは
素晴らしいと考えて良いだろう。
ベトナムの道路整備は2009年に密度が0.78 km/km2となり、ベトナムより発展している
フィリピンやタイより高くなった。また、2009年には電気網がベトナム全体の96%を
カバーした。Dung Quat港、Cai Mep港等の新たなコンテナ港が誕生し、Da Nang市の空港、
Can Tho市の空港が整備されたため、世界との繋がりが充実化された。
7.ベトナムの若年層にインターネットが普及
ベトナムは人口が若く、学習レベルが高いため、インターネットの利用者数が伸びている。
携帯電話加入者は2000年から2010年までで年間平均70%という急激な増加を記録した
(アメリカは10%)。2010年末現在のネット人口は1.7億で、携帯電話のユーザーは
そのうちの1.54億人である。
ベトナムのインターネット利用者は31%で、マレーシアと台湾がそれぞれ55%と72%だが
ベトナムでは大きな変化が生じており、広帯域の加入者が2006年の50万人から2010年の
380万人に増え、2010年には3Gの加入者が770万人に達した。
通信インフラ施設が発展すると、携帯電話とインターネット利用者がブーム的に増加する。
現在、ニュースを検索する人はネットユーザーの94%を占めている。ネットユーザーの
40%以上が毎日サイトにアクセスしている。
8. 加工サービスや外部委託サービスのアドレスとしてのベトナム
ベトナムでは加工分野と外部委託サービス分野で働く人が10万に達していて、この分野は
年間15億USDの売り上げを叩き出しており、HP、IBM、Panasonic等の大手外国企業が
ベトナムに拠点を置いている。
加工分野と外部委託サービス分野でベトナムはTOP10のアドレスに入る可能性が高い。
賃金が安く、教育の行き届いた若い人材が多い(毎年、25万7千人が大学を卒業する)。
ベトナムではソフトウェア技術者の給与が中国より60%も低い。同じくデータ整理技術者も
中国の技術者より50%低い。
加工業と外部委託サービス業はベトナムに年間60億USD~80億USDの売上を与えており、
ニーズがあれば対応可能な状況になっている。この分野は2020年まで労働者60万~70万人に
仕事を供給し、GDPの3%~5%を担うことが見込まれている。
9.中国やインド・アセアン諸国より高いベトナム銀行の資金貸付成長率
この10年間でベトナムの資金貸付総額は年間33%増え、中国、インド、アセアン各国の
成長率より大きくなった。2010年末時点での資金貸付総額はGDPの約120%相当であり、
成長率はまだ22%程度だった。
この急成長はベトナム経済の発展を証明し、銀行ネットワークの拡大を表している。
しかし、不良社債および経済への悪影響に関しては懸念もある。
10. 減少するベトナムの人口の利殖 (demographic dividen)
人口利殖とは人口の変動による経済的な利益を指す。2005年~2015年の間は若い人材が
増加すると共に、経済構造の農業分野から工業分野とサービス分野への移転が考えられ、
経済成長の約2/3を担うものと思われる。残りの約1/3は労働能力改善の成果である。
だが、ベトナムおける経済発展の原動力(若い労働人材と経済構造の移転)は徐々に
弱まってきている。
統計によると、ベトナムでは労働人材の成長率が10年後に年間0.6%となり、
2000年~2010年の2.8%から大幅に減ることが予想されている。また、農地から工場に
場所を移すベトナムの経済構造が従来のスピードで実施されていない。
これにより、GDPの成長率を維持するため、今後のベトナムでは労働生産能力を
改善しなくてはならなくなり、2020年までに50%アップ(4.1%から6.4%に引き上げ)が
必要である。これが達成できなければGDP成長率は年間4%~4.5%に減少する可能性がある。
その場合、ベトナムのGDP総額は年間7%の成長率を達成するGDPの額を30%下回る。
Vneconomy.net 2012年3月1日