ブルーチップ ベトナム投資ニュース

以下は、国際機関投資家Sovereign Man の投資戦略部長-
Tim Staermose氏が、ベトナム財政活動に関する驚きを語ったものである。
この記事は、4月12日Business Insiderに掲載されたものである。

Tim Staermose氏は、
ベトナム銀行が、ゴールド（金）を保管するために、
貴方にお金を払います。といっていることについて、
「これまで私もSimon社長も、
　この様なサービスを世界中見渡してもでも見たことがない。」
と、驚きを隠さなかった。

銀行業というものの歴史を振り返ってみると、
金で預金するというのは、銀行黎明期に行われた原始的なサービスである。
昔、銀行のオーナーは貴金属店であった。
彼らは、警備体制の厳重な倉庫を持っていたため、
顧客がお金を払うと、倉庫に金を保管する、といったサービスが提供されていた。
その後、貴金属店は資金貸付サービスを展開するようになる。
金の保管料に代わり、預けた人に対して特定の金利を払い、
その代わり、預かった金を他人により高い金利で貸し出すというものだ。
貴金属店の信用は、貸付能力と金利支払い能力で評価された。
Staermose氏は「現代の感覚からみれば、
こうしたサービスは銀行業の歴史の一部であるが、
ベトナムの場合はそうではないようだ。」と述べた。

氏は、ベトナム銀行がこうした旧式サービスを維持する理由について、
インフレ上昇が続く中で、国民の収入を保護しようという目的がある、
と分析している。
ベトナム経済は、2000年代に自由化経済の実施と外国投資の導入により
急速に発展した。しかもこの数年は、
経済成長が加速度的に進み、インフレ上昇も激しくなっていた。
そんな中、国際金融危機が発生した。

この3年間で、VNDがUSDより約30％安となり、
現在1USDあたり21,000VNDという状況になっている。
オーストラリアドル、カナダドル等のより強い貨幣と比較すると、
VNDはさらに安くなってしまう。
そのため、ベトナム人は当然通貨を信用しなくなり、
給与はUSDで貰いたい、預金は金でしたいという考えが
大勢を占めるようになった。

各銀行も金預金を勧めるために、魅力的な金利制度を適用している。
また、不動産の価値も金で計算されるようになっている。
商品として、一般人までもが金の売買価格を良く把握している。

政府はUSD化を阻止し、国民の金保管の傾向を改善しようと、
新たな規定も適用したが、
実際には、現在も金預金を取り扱う銀行が少なくない。
ただ技術的には、ベトナム銀行は金の預金に対して
金利を払うことはできない。

Sovereign Man 氏は、
「金はおろかな金属であり、利益にならないもの、
　というWarren Buffetの考えは正しくない。
　ベトナムは、時代遅れの貧しい国と評価されているが、
　彼らは、リスクが低く市場価値あるものを保管することが良いのだと、
　充分に理解できている。」と述べた。