ベトナム企業の外国債 国内外の温度差
マクロ経済の不調が続く中、
ベトナム銀行では、外国社債が発行しにくい状況となっている。
CafeF.vn 2012年6月8日
ベトナム銀行では、外国社債が発行しにくい状況となっている。
現在、国内金融機関が短期間で、国際市場で資金を調達するのが、
難しくなっている。
先日、ベトナム商工銀行(Vietinbank)は
5年期限の外国社債を2.5億USD売切った。
債券金利は年8.25%である。
国内各銀行は、それに続きたいところだが、
マクロ経済の悪化と国際市場の変動続きにより難しい状況に直面している。
次々発表される外国社債
国際市場での長期的な外貨調達計画は、
Vietinbankに限らず2010年末から提案されている。
ベトナム投資開発銀行(BIDV)、
ベトナム貿易銀行( Vietcombank)、
ACB銀行、STBなど各銀行とも、
外貨資金の国内需要急増に対応するため、
年内には外国社債を発行する計画を立てている。
Vietcombankは2012年、資金調達目標を10億USDと定めている。
他にもACBは第1回の発行で1億USD、
BIDVも最低5億USDを調達する計画を立案している。
Sacombankは5月26日の株主総会において、
5年期限の1億USD外国社債を発行する計画が提案されており、
今年の第2、3四半期には実行される予定である。
上記各銀行の強みは、外貨資金を大量に確保していることだが、
長期の外貨準備資金は、さらに拡大させる必要がある。
今後、大規模な投資計画を実行するためには、
国内での、長期外貨準備資金に対する需要が、高まることが予測されており、
国内各銀行の外貨準備資金が足りない場合、
長期外貨資金の調達は、外国銀行に掌握される事態となる。
外国社債の発行は、ベトナム商業銀行にとって当然と認識されている。
ベトナムではUSD資金調達源が不足しており、
国家銀行は調達の金利上限を年間2%以下に抑えているが、
国内のUSD需要は減っていない。
外国社債発行計画が実行間近となった銀行の代表者によると、
ベトナム銀行の外貨資金構造は、
VND調達の構造とあまり変わらないのだという。
基本的に、短期資金が平均で全体の85~90%を占め、残りが長期資金となる。
また、通常借入の条件は、長期と短期の資金が半分半分となる。
Ban Viet証券株式会社の報告によると、
国内銀行が貸付けているUSDは25億USDなのだが、
実際USDの預金資金は13億USDしかないため、
銀行は、他の金融機関から12億USDを借りている状況なのだという。
外国社債は、銀行だけではなく、
石炭・鉱山グループ(Vinacomin)、
電力グループ(EVN)、石油グループ(PVN)等の大規模国営企業も、
2年前から発行計画を立てている。
Vinacominは2010年に外国で社債公開を行ったが、
市場の反応が弱すぎたため計画を中止せざるを得なかった。
PVNもVinashin案件が発生しため、自社の社債発行計画を中止させた。
その後2011年に入って、金融市場が徐々に悪化、
国際市場では、ベトナムのUSD借入金利が非常に高く引き上げられた。
金利は年11%にまでなったが、
それでもいくつかの企業は、厳しい条件を飲み、USD借入を実行した。
冷ややかな、海外の目
3月末シンガポール、香港、ロンドン、ボストン、
ニューヨーク、ロサンゼルスで、Vietinbankの社債発行が発表された。
投資家の質問の3分の1は、
ベトナムのマクロ経済開発戦略、
国営企業の経営状況、
Vinashinの借入金返済状況、
ベトナム銀行の問題、
ベトナムと海外の会計基準の違いに関するものであった。
なぜVietinbankは、他の国営企業よりも順調に社債発行できたのか?
Vietinbankも国営機関ではあるが、外国投資家からは、
ベトナムの銀行は、他の国営企業より特徴のある機関と考えられているようだ。
Vinashinの大規模案件は、造船分野に大きな影響を与えたが、
銀行分野には余り影響しなかった。
ベトナムの場合、銀行が資金を無くしたといっても、
株主資本を失ったわけではなく、国民の預金資金を無くしたのである。
また、Vietinbankはベトナム銀行の貸付金と預金総額の約14%を占めており、
国内第2位の時価総額を有している。
さらに政府支援があるため、簡単に倒れるという心配もない。
外国投資家が最も関心を示している問題は、
(1)国営企業や、公的投資の影響力
(2)公的機関の投資
(3)経済・銀行ネットワークの再構築、である。
さらに、マクロ経済の状況が投資家の判断に最も大きく作用する。
企業が体質の良さを喧伝しても、国の経済状況が不安定であれば、
投資家が懸念するのは当然である。
これも、資金不足に悩む今のベトナム企業にとって大きな問題である。
スリランカ、フィリピン、タイ、インドネシア等の
他のアジア諸国と比べても、
ベトナムは、リスクの高い国と評価されている。
Vietinbankの社債発行に関する野村証券の最新報告書によると、
ベトナムの銀行に対して、特に懸念すべき課題は2つあるという。
(1)ベトナム銀行の資産は透明性と質が低い。
理由は、不良社債の分類と解決策が簡単すぎることである。
(2)国営企業に対する政府支援が、期待より大きくない。
それが2010年のVinashinの案件に良く表れている。
他にも、ベトナム企業の借入残高が大きいこと、
インフレ、金利高、多分野に渡って資金の流動性が弱いことなどを挙げ、
野村は、今後倒産する国営企業がまだまだあるだろうと言い、
政府が、これらの企業に対して効果的な支援ができていないことに対し、
強い懸念を示している。
5月11日に発表されたCitigroup研究部の報告書には、
「ベトナムは財政状況が弱い、世界的に見ても銀行のランキングが低い、
国営企業の返済能力が弱さからいっても、
ベトナム銀行の社債は、モンゴル銀行の社債と同様に取引されるべきであり、
5年期限であれば、年9~10%の金利が適切である。」と掲載された。
難しくなっている。
先日、ベトナム商工銀行(Vietinbank)は
5年期限の外国社債を2.5億USD売切った。
債券金利は年8.25%である。
国内各銀行は、それに続きたいところだが、
マクロ経済の悪化と国際市場の変動続きにより難しい状況に直面している。
次々発表される外国社債
国際市場での長期的な外貨調達計画は、
Vietinbankに限らず2010年末から提案されている。
ベトナム投資開発銀行(BIDV)、
ベトナム貿易銀行( Vietcombank)、
ACB銀行、STBなど各銀行とも、
外貨資金の国内需要急増に対応するため、
年内には外国社債を発行する計画を立てている。
Vietcombankは2012年、資金調達目標を10億USDと定めている。
他にもACBは第1回の発行で1億USD、
BIDVも最低5億USDを調達する計画を立案している。
Sacombankは5月26日の株主総会において、
5年期限の1億USD外国社債を発行する計画が提案されており、
今年の第2、3四半期には実行される予定である。
上記各銀行の強みは、外貨資金を大量に確保していることだが、
長期の外貨準備資金は、さらに拡大させる必要がある。
今後、大規模な投資計画を実行するためには、
国内での、長期外貨準備資金に対する需要が、高まることが予測されており、
国内各銀行の外貨準備資金が足りない場合、
長期外貨資金の調達は、外国銀行に掌握される事態となる。
外国社債の発行は、ベトナム商業銀行にとって当然と認識されている。
ベトナムではUSD資金調達源が不足しており、
国家銀行は調達の金利上限を年間2%以下に抑えているが、
国内のUSD需要は減っていない。
外国社債発行計画が実行間近となった銀行の代表者によると、
ベトナム銀行の外貨資金構造は、
VND調達の構造とあまり変わらないのだという。
基本的に、短期資金が平均で全体の85~90%を占め、残りが長期資金となる。
また、通常借入の条件は、長期と短期の資金が半分半分となる。
Ban Viet証券株式会社の報告によると、
国内銀行が貸付けているUSDは25億USDなのだが、
実際USDの預金資金は13億USDしかないため、
銀行は、他の金融機関から12億USDを借りている状況なのだという。
外国社債は、銀行だけではなく、
石炭・鉱山グループ(Vinacomin)、
電力グループ(EVN)、石油グループ(PVN)等の大規模国営企業も、
2年前から発行計画を立てている。
Vinacominは2010年に外国で社債公開を行ったが、
市場の反応が弱すぎたため計画を中止せざるを得なかった。
PVNもVinashin案件が発生しため、自社の社債発行計画を中止させた。
その後2011年に入って、金融市場が徐々に悪化、
国際市場では、ベトナムのUSD借入金利が非常に高く引き上げられた。
金利は年11%にまでなったが、
それでもいくつかの企業は、厳しい条件を飲み、USD借入を実行した。
冷ややかな、海外の目
3月末シンガポール、香港、ロンドン、ボストン、
ニューヨーク、ロサンゼルスで、Vietinbankの社債発行が発表された。
投資家の質問の3分の1は、
ベトナムのマクロ経済開発戦略、
国営企業の経営状況、
Vinashinの借入金返済状況、
ベトナム銀行の問題、
ベトナムと海外の会計基準の違いに関するものであった。
なぜVietinbankは、他の国営企業よりも順調に社債発行できたのか?
Vietinbankも国営機関ではあるが、外国投資家からは、
ベトナムの銀行は、他の国営企業より特徴のある機関と考えられているようだ。
Vinashinの大規模案件は、造船分野に大きな影響を与えたが、
銀行分野には余り影響しなかった。
ベトナムの場合、銀行が資金を無くしたといっても、
株主資本を失ったわけではなく、国民の預金資金を無くしたのである。
また、Vietinbankはベトナム銀行の貸付金と預金総額の約14%を占めており、
国内第2位の時価総額を有している。
さらに政府支援があるため、簡単に倒れるという心配もない。
外国投資家が最も関心を示している問題は、
(1)国営企業や、公的投資の影響力
(2)公的機関の投資
(3)経済・銀行ネットワークの再構築、である。
さらに、マクロ経済の状況が投資家の判断に最も大きく作用する。
企業が体質の良さを喧伝しても、国の経済状況が不安定であれば、
投資家が懸念するのは当然である。
これも、資金不足に悩む今のベトナム企業にとって大きな問題である。
スリランカ、フィリピン、タイ、インドネシア等の
他のアジア諸国と比べても、
ベトナムは、リスクの高い国と評価されている。
Vietinbankの社債発行に関する野村証券の最新報告書によると、
ベトナムの銀行に対して、特に懸念すべき課題は2つあるという。
(1)ベトナム銀行の資産は透明性と質が低い。
理由は、不良社債の分類と解決策が簡単すぎることである。
(2)国営企業に対する政府支援が、期待より大きくない。
それが2010年のVinashinの案件に良く表れている。
他にも、ベトナム企業の借入残高が大きいこと、
インフレ、金利高、多分野に渡って資金の流動性が弱いことなどを挙げ、
野村は、今後倒産する国営企業がまだまだあるだろうと言い、
政府が、これらの企業に対して効果的な支援ができていないことに対し、
強い懸念を示している。
5月11日に発表されたCitigroup研究部の報告書には、
「ベトナムは財政状況が弱い、世界的に見ても銀行のランキングが低い、
国営企業の返済能力が弱さからいっても、
ベトナム銀行の社債は、モンゴル銀行の社債と同様に取引されるべきであり、
5年期限であれば、年9~10%の金利が適切である。」と掲載された。
CafeF.vn 2012年6月8日