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2011年11月07日

跳ね上がる都市の不動産価格


「都市部の地価が、賃貸料や販売価格の上昇に対する期待を反映し、
賃貸料80年分相当にまで跳ね上がっている。
ここまで引き上げられると、ハノイ市民のうち、
土地を購入できるのは、5%のみとなってしまう。」


上記は、Trinh Dinh Dung建設省大臣の発言。
Dung大臣は「国家都市開発計画によると、2015年までに、
国内都市化率は約38%に達する予定となっている。
全国で各種都市は870市町となり、
現在から125の市町が増加する予定となっている。
ただ、国際経済危機による影響は深刻で、
気候変動による被害も大きなベトナムにとって、
都市ネットワークを統一して安定的に開発することは、
大変困難である。」と述べた。

都市開発 管理体制の未熟さ

統計によると、現在全国には、
20ヘクタール以上の規模を有する住宅団地が630か所あり、
トータル面積は10,000ヘクタールを超える。
都市経済はGDPの約70%に貢献しており、
病院、学校、公園、文化会館等の社会的インフラへの投資も進み、
国民の生活基準は向上している。

ただ、Phan Thi My Linh-建設省都会開発局長は、
都市化のスピードが、地方行政の管理能力をオーバーしている、
と警鐘を鳴らしている。
都市開発管理能力が実際の要求に追いつかない状況となっており、
都市空間の拡大と品質が一致せず、
企画、分類等が生活環境の改善を重視していないことも多い。
大都会では、技術インフラ整備に対するニーズが大きいが、
そのための財源確保には制限が多い。

さらに問題なのは、貧富の差が大きいこと、
その他、住宅、労働人材、就職状況、郊外の開発、
都市・農村の連携、資源の節約等の問題、
その他に国際社会への加入、都市間の競争、
気候変動等、開発に関する課題を挙げればきりはない。

地価高騰のからくり

Dean Cira-世界銀行都市コーディネーターは、
2011年のベトナム都市化状況に関して、驚くべき研究結果を発表した。
曰く、「政府規定の土地価格」と「市場の土地価格」に、
約10倍もの格差がある、とのこと。

Dean Cira氏は「この価格システムが、
不動産開発者(主に国営企業)、
投資家、投機家に巨利を与えることになった。
逆に土地使用権を持つ人が最も損をしている。
これらの企業は、通常国営企業である。」と分析した。

その他、土地の割り当て、契約、
開発者に対するライセンスの発行、税金に関しても、
投資家が故意に土地価格を目減りさせているため、
政府が所有する土地からの利益を得られていない状況となっている。
また、土地の価値が安く計算されることで、
土地の売買取引が増加し、都市が早く拡大され、
インフラ整備や、整備への資金調達が充分に対応できない状況が、
生み出されることとっている。

世界銀行の調査によると、
ハノイ、ホーチミン両市の不動産価格は、
アジアの他の都市に比べ、かなり高くなっているという。
ここで面白いのは、同じ地価のレストランの賃貸料に比べ、
その不動産価格は1,000倍高いということだ。
言い方を変えると、地価が賃貸料80年間で計算されている、
ということになる。



CafeF.vn  2011年11月7日

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