グラミン銀行とその創始者ユヌス氏のノーベル平和賞受賞により、一躍、マイクロファイナンスの社会的意義が世界的に認知されるようになりました。それに先立ち、米国では、クリントン元大統領やビル・ゲイツをはじめ、大勢の著名人がマイクロファイナンスを取り上げ、巨額の資金提供を行うなど、理解の輪が徐々に広がりつつあります。
昨今、移民送金の問題が世銀やIMFで頻繁に取り上げられるようになったのは、貧困層の移住が世界的現象となったからですが、その結果としてマイクロファイナンスの需要が先進国にも広がり始めていることに着目し、それに対応する事業モデルを、営利企業として実現しているMFIC社のような例は、世界でも極めて稀であると自認しています。
このたびMFIC社では、その象徴となる新サービス「トランスナショナルローン」を立ち上げ、第一号の融資を実施致しました。トランスナショナルローンは提携マイクロファイナンス機関と協働し、米国在住移民が母国で住宅を購入することができるようになる、移民特有の需要に応えるサービスです。第一号のお客様はメリーランド州在住の男性で、2万ドルを借りて、故郷エルサルバドルはサンミゲルに住宅を購入しました。彼が帰国する時まで、その家には母親が住むそうです。
具体的な仕組みですが、ローンの提供は、提携マイクロファイナンス機関が現地で行い、MFIC社は顧客獲得から始まって、審査に必要な情報の収集、返済金の回収、遅延時のフォローアップなど、顧客サービスを担当する他、融資額の半分を保証します。
今週米州開銀が発表した調査データによりますと、定期的に送金を行っているヒスパニック移民で、母国に住宅を購入したいと考えている人は47%にのぼります。しかし、米国の銀行は海外にある物件を担保に融資を行わないため、潜在需要は巨大です。また、これまで在米移民という魅力的な市場にアクセスするすべを持たなかったマイクロファイナンス機関にとっても、アランテを経由して顧客を獲得することが可能になり、飛躍的に商機が拡大することになります。
このサービスは、中南米に提携マイクロファイナンス機関のネットワークを持ち(しかもそれが送金システムでつながっており)、米国内には出稼ぎ移民の顧客ベースを持っている、MFIC社独自の事業インフラがあるからこそ実現するものです。そういった意味で、トランスナショナルローンの開始は、事業進展の重要なマイルストーンであると考えています。今後は、住宅購入だけでなく、事業(起業)や教育、医療など、多様なローン需要を取り込むと同時に、手続きの迅速化を図り、事業拡大を速めたいと考えております。
引き続き、ご支援のほど宜しくお願い致します。