平素は多岐に亘るご支援を賜りまして、誠に有難うございます。
近時、サブプライムローン証券化商品の大幅な価格下落に端を発し、
巨額評価損の発生、相次ぐ投資銀行、保険会社破綻、金融再編が相次いでおり、
まさに米国の金融システムを震撼させるような事態に至っております。
政府による、金融機関への有事流動性提供を目指す
総額7000億ドルにも上る「金融システム救済法案」は
「金融機関が保有するサブプライム住宅ローン流動化証券を政府が一括で買い取る」
との条項を盛り込んだことで、「金融システムの安定化」という本来の目的から逸脱し、
「マネーゲームで散々儲けた輩の失敗のツケを国民の税金で払うのか」
とのイメージを一般に与えたことで、一斉に反発を買い、
米国下院では、法案否決という結果となりました。
この一連の事件で最も注目すべきことは、その損失額の大きさだけでなく、
諸取引決済のための流動性確保への懸念が金融界全体に広がり、
どのビジネス・セクターに対しても新規融資が実行されなくなってしまっていることです。
「経済の血液」である、金融がストップすることは、
ありとあらゆるレベルでキャッシュフロー・クランチが起こり、
安定的な黒字企業でも一瞬の内に倒産の憂き目にあう事態となりますが、
怖いのは、この血液が循環しない状況を続けてしまうと、
経済のあらゆる層でキャッシュフロー破綻が起こり、
米国経済全体を短期間で崩壊させてしまう可能性があることです。
このような、あらゆる事業活動継続が危機にさらされている中で、
今回の問題がMFICの事業に与える影響についてご心配される方も多いかと考えますので、
弊社事業の近況について、以下ご報告申し上げます。
1.MFICに与える影響について
(1)顧客層に及ぼす影響
端的に申し上げますと、殆ど影響はございません。
弊社のリテール・サービスの対象となる顧客層の大半は、
そもそも銀行口座も持たず、クレジットヒストリーも持っていない点で
サブプライム・ローンの対象となるような層よりも更に2段階下の顧客層だと言えます。
従って、米国景気全体が沈降していることによる失業や所得の減少、
原油高による諸物価高騰が弊社顧客層に与える影響は甚大ではありますが、
昨今のウオールストリート発の
一連の金融問題が弊社顧客層に与える影響は殆どなく、
アランテ・ファイナンシャルでのリテール・サービスの取引量は現下の状況でも
着実に増加を続けています。
(2)弊社事業運営への影響
事業拡大期に差し掛かっている弊社にとりまして、
長期的には金融システムが凍結状態にあることは、
将来的な運転資金の調達が必要となる際には懸念材料とはなりますが、
現時点では米国の金融システムから調達している資金はなく、
また向こう6ヶ月程度の活動で必要となる流動性については確保しておりますので、問題はありません。
資金の調達面では、国際開発問題に通じている複数の機関投資家との出資交渉を順調に進めており、
本年度末から2009年度第一四半期での実行を目処に諸手続を進めております。
従いまして、今回の米国金融恐慌とも言われる一連の事件は、
米国の金融システムの安定を著しく損なう可能性があり、
金融機関の破綻、再編成を促すことは間違いありませんが、
社会の底辺で一生懸命働こうとする人達に対する
安定的な金融インフラを提供しようとする弊社事業には
大きな影響はないものとお考え下さい。
2、MFIC事業の近況について
MFIC事業の収益部門は現段階で大きく分けて5部門あります。
1)リテール金融サービス部門
2)金融機関に対するシステム提供、ペイメント取引プロセスサービス部門
3)エージェント網を通じた送金業務部門
4)国際機関との協働により途上国側での金融インフラ構築をする国際プロジェクト部門
5)コンプライアンス・アドバイザリー・サービス提供部門
いずれの部門も、これまで業界に存在しなかったアプローチで、受益者となる移民層や
金融機関に対する具体的なメリットの提供を行いつつ、収益に結びつける姿勢を貫いていますが、
全く金融機関よりサービスの提供を受けられない顧客層に、
最も必要なサービスを提供するために必要なITシステム、商品、サービス、ネットワークを一から構築する必要があり、
これまで多大な時間をかけてきました。
ここにきて、各サービスの完成度が高まり、商品性が確立してきたことから、
国内での大型商談を初め、
国際機関と協働での開発途上国プロジェクトへの採用、販売力強化のための業務提携契約等、
前向き案件が続出しております。
ご参考までに、これらの案件の例を紹介致します。
A.リテール部門
店舗開設等で、長らく先行投資が続いてきましたが、本年度第2四半期よりの効率化と
商品群の充実が奏功し、第4四半期では黒字化が見込めるところまで業量が拡大して参りました。
収益源の柱の一つである、米国内の融資は先般来の市場環境を鑑み、一時的に中断しておりが、
その代わりに商品群を従来の5商品から12商品へと拡大、
更には個別のサービス価格の見直しを行いましたので、
第4四半期にはこの効果が出てくるものと思います。
B.金融機関へのシステム提供、プロセス・サービス
弊社独自での営業活動においても、複数の大型案件が進行中ですが、
今後の販売力の大幅強化のため、近時、300以上の銀行顧客と1500名以上のセールス要員を擁する、
銀行専門のIT、ペイメントサービス提供会社との「国内再販代理店契約」を締結しました。
これにて、今後の弊社送金システムARIASの展開スピードが格段に上がるものと考えます。
(これまでの弊社独自のセールス人員は3名)
C.エージェント送金部門
具体的には、エル・カミノ部門が中心となりますが、
10月よりはカナダ、ノースキャロライナ州、サウスキャロライナ州、ジョージア州、テキサス州等からの
送金取引が開始されるだけでなく、
新しい試みである、プリペイド・カードを媒体にした送金プログラム、「マンダ・モニー」が開始されます。
これに伴って第4四半期ではかなりの取引量増加が期待されます。
D.国際プロジェクト
現時点ですでに、3件の国際機関との協働プロジェクトが承認されており、
MFICがマンデートを獲得しております。
ラテンアメリかとアフリカ地域でのプロジェクトで、
基本的には当該地域での送金インフラ構築プロジェクトですが、
弊社のARIAS送金システムはこの種の国際プロジェクトに対応できる数少ないソフトウェアですので、 今後はさらに多数の案件獲得が期待されます。
さらに、欧州復興開発銀行やアフリカ開発銀行とも同種のプロジェクト実施について協議を進めています。
E.コンプライアンス・サービス部門
この部門は、業界自体が非常にコンプライアンス対応力に欠けていることに鑑み、
6月より個別部門として立ち上げた部門ですが、
送金業界では基本的に年間に一回の頻度で外部の機関による
コンプライアンス・オーデイットが法令で義務付けられているにも関わらず、
この種のサービスを適正な価格で提供できる企業が少ないのが実情です。
(通常は会計事務所や弁護士事務所に依頼して監査を実施するが、
一件あたり2万ドル程度の費用となるのが通常)
これに対して、MFICのコンプライアンス・サービスは非常に専門的な監査でありながら、
良心的な価格でサービスを提供することもあって、
サービス開始以来3ヶ月間ですでに45万ドルもの契約を獲得しております。
この分野は、業界でのニーズが非常に高いにも関わらず、
供給が追いついていないニッチ・マーケットですので、
今後とも契約高が伸びていくものと考えております。
上記の通り、金融システム自体の崩壊をも噂される大荒れの米国の金融サービス市場にあって、
MFICのビジネスはその成長スピードを加速しており、
第4四半期には総合的な黒字化実現が視野に入っております。
まだまだ、事業としての安定性を確保するには、様々な問題をクリアしていく必要がありますが、
ようやく採算の確保が可能となる事業規模に到達できる状態に近づいておりますので、
株主の皆様におかれましては、引き続き温かい目でご支援をお願い致します。
以上
マイクロファイナンス・インターナショナル
代表取締役社長 枋 迫 篤 昌